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プロフィール
HN:
篠江 翔
年齢:
34
性別:
男性
誕生日:
1989/06/25
職業:
フリッカー×巫女
趣味:
音楽
自己紹介:
他PC
*久保枝・夏葵
(エターナルオヤブン・b04791)

*篠江・疾風
(風追い・b17556)

*栗栖・タケシ
(紅の貴公子・b21362)

*篠江・つぐむ
(論理演算・b31341)

*篠江・港
(ラジカルスクランブル・b41572)

*篠江・晴杞
(プレデターゲーム・b41574)

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この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、篠江・翔が作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は篠江・翔に、著作権は絵師様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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書いて思ったこと。
やっぱり銀雨の年齢設定に合わせると、かなり無茶だった←

今日は他校の生徒だった。昨日は同じ学校の上級生。

一人相手に複数で群れて絡んで…意気がっているのも数分。

「ひ…ゃ、やめ…」

生意気だと襟首掴んで来た威勢はどこへ行ったのかと頭の片隅で思いながら、最後の一振りを下ろす。

鈍い音をたてて、バットは相手の意識を奪い…残るのは掌にジンと伝わる重みだけ。

「ち…っ、つまんねぇ」

毒を含んだ声で言い捨て、バットを放る。
春が始まろうとしている頃だった。


篠江家、四男依月の下には二つ違いの弟がいる。
依月は兄弟の中でも下の方だ。だから弟がいる事を少なからず嬉しく思っていた。
それも小さい頃の事。弟、つぐむの事が疎ましく思えてきたのは依月が小学校五年の辺り。

面倒くさがりな自分とは違ってつぐむは「お利口さん」だ。
今思えば、幼稚園の頃からつぐむはよく褒められていたと思う。

小学生になって、お利口さんなつぐむは勉強をよくする…結果、両親の期待も寵愛もつぐむへ注がれる。

同じく二つ上の兄、疾風も成績優秀に中学校へあがった。
走るのも速く、中学では陸上をやっているみたいだ。

長男の翔は親と仲が悪いものの歌という夢がある。
親の期待も理解にもこだわらず夢を追う姿は憧れでもあった。

だから余計に許せなかったのかもしれない。
依月が中学への入学を少し先に控えていた頃…兄の翔は、歌をやめた。

元々親から理解を得られていなかった兄の歌。町に出れば、あんなにも多くのファンがいるのに…。
親が期待する高校に行けなければ歌をやめろと、前から言われていた。
やめることが出来ないなら出ていけとまでつい最近は口にするようになっていた。

自分が怒っても意味がないことはわかっている。
辛いのは自分じゃなく兄だ…高校入学を前にしている年の兄には、親の力無く生きていくことなんて簡単に決められなかった。
どんな気持ちで歌をやめると決めたのか、例え兄弟でもその苦しみまでは感じることは出来ない。
ただ依月にはそんな憤りも、弟への嫌悪も、兄…疾風への羨望も、ぶつける場所が喧嘩以外になかった。

元々色素の薄い髪を金に近く染めたのは中学にあがる少し前。
入学したその日、上級生からはすぐに目をつけられた。

ピアスは、一つ上の兄…晴紀に無理矢理あけられた。
晴紀は何かと依月をかまいたがる。上級生に絡まれた時も、加勢に入る。
止めずに自分も応戦するのが晴紀らしい。
そんな兄だから、依月とそろって問題児だ。学校も、親も、既に野放し。


「にーちゃん…」

ある日…数日後には中学二年となるそんな日だった。
弟のつぐむがおずおずと依月が家に帰ってくるなり声をかけてきた。

「…何」

あからさまに嫌そうに見下ろす…が、つぐむは依月の感情に気付かないようなあどけない目でじっと見つめ返す。

「痛い??」
「何が…」

短く返してから察する。あぁ、喧嘩の怪我か。口の端は切れてるし、腕も青痣が痛々しい。

ふいに、きゅっと手を握られる。

「痛い??にーちゃん、いっぱい怪我してる…」

じわり、とつぐむの目に涙が浮かんでいた。

これだから…嫌いなんだ…。

お利口で…素直で……優しくて…俺の事を、「にーちゃん」って、呼ぶ。

真っ直ぐに…慕う。
自分はこんなにも、汚れた感情を抱いていたのに。

「にーちゃん、泣かないで」
「泣いてない…」
「悲しい顔、してる」
「…痛いから」

胸が。
つぐむがいて…1番喜んだのは誰だったろう。
まだ歩き始めたばかりのつぐむをハラハラ見守ったのは誰だったろう。

目の前で俺の痛みの為に泣くこの子を、失った時…1番自分を責めるのは誰だろうか…。

「大丈夫…もう、大丈夫…ごめん…」

何年ぶりかに…笑った気がする。
依月が笑えば、つぐむも笑う。良かった、と安心してくれる。


依月は、喧嘩をやめた。
しばらくはまだ絡まれる事もあったが、晴紀のフォローもあり暴れることはパタリとなくなった。

代わりに…イライラや疲れやそういうマイナスの感情を寝ることで鎮めた。
そのせいか、睡眠欲が妙に活性し、普段から睡眠量が増えてしまったらしい。


中学三年…弟のつぐむも、今年から中学生だ。
相変わらずお利口なつぐむは一学期末のテストも優秀だった。


「つぐむ…」

ぎゅうっと後ろから抱き着けば、それ相応に反抗期なつぐむは迷惑そうにする。

「な、何ですか兄さん…暑いです」
「大好き…」
「気色悪いんでやめてください…っ」

もだもだと腕を振り払おうとする弟の頭をわしゃわしゃと撫でる。

「…ありがとう」

あの日、つぐむが泣いてくれたこと…忘れない。
ずっと…感謝してる。

 

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